太平洋からインド洋にかけての熱帯~亜熱帯の海岸に分布し、果実に2型(コルク型・果肉型)がある植物 クサトベラ Scaevola taccada について、ddRAD-seqによるゲノムワイドSNP情報を用い、その2型と遺伝構造の間の関係について調べた研究がAnnals of Botanyに掲載されました。
解析の結果、琉球列島の離れた島間の砂浜集団が互いに遺伝的に混合しているのに対し、崖の集団は島毎に遺伝的に分化していることがわかりました。また、コルク型・果肉型の間では遺伝的な分化がみられませんでした。果実形態とランドスケープ(景観構造)の相互作用が植物集団の遺伝構造を決定していることを示す例として注目されます。
研究の中心は鹿児島大学の榮村奈緒子助教 ( https://sites.google.com/site/emuranaokoweb/ ) と、岩崎が学振PDでお世話になった京都大学生態学研究センターの工藤洋教授の研究室 ( https://www.ecology.kyoto-u.ac.jp/~kudoh/ ) で、岩崎はddRAD-seqのNGSデータ解析を主に担当しました。
Naoko Emura*, Tomoaki Muranaka, Takaya Iwasaki, Mie N Honjo, Atsushi J. Nagano, Yuji Isagi, Hiroshi Kudoh*. 2022. Effects of fruit dimorphism on genetic structure and gene flow in the coastal shrub Scaevola taccada. Annals of Botany. https://academic.oup.com/aob/advance-article/doi/10.1093/aob/mcac138/6935734 DOI: 10.1093/aob/mcac138
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