脳が生きているとはどういうことか

毛内研究室 (お茶大生物) @monai_lab

 神経回路網は化学シナプスを介したニューロンの相互作用によって動作していると考えられています。しかしながらシナプス伝達だけでは説明のつかない、多様な情報伝達機構の存在が明らかとなっています。

 特にグリア細胞の一種のアストロサイトは、これまで補助的な役割しか持たないとされてきましたが、生体脳内で神経回路の情報処理に積極的に関わっている可能性が示唆されています。アストロサイトはニューロンと違い、活動電位を発生しないため、従来の電気生理学的測定においてはその寄与が見逃されてきた可能性があります。一方、神経伝達物質の受容によって有意に細胞内カルシウム濃度 (Ca2+)が上昇することが知られています。さらにそれに伴い様々なグリア伝達物質を放出し、神経修飾物質の細胞外空間への拡散伝達を介在することで広範囲の神経活動を長期に渡って修飾することが報告されています。

 

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参考・推薦図書

  1. 毛内拡 著 脳を司る「脳」 講談社
  2. 工藤佳久 著  改訂版もっとよくわかる!脳神経科学〜やっぱり脳はとってもすごいのだ〜 羊土社
  3. 宮川博義・井上雅司 著「ニューロンの生物物理 第2版」丸善出版

代表的な論文

  1. Y. Wang and *H. Monai, Transcranial direct current stimulation alters cerebrospinal fluid-interstitial fluid exchange in mouse brain, Brain Stimulation. Volume 17, Issue 3, May–June 2024, Pages 620-632 (2024) https://doi.org/10.1016/j.brs.2024.04.009【解説】
    微弱な電気刺激により脳の老廃物の排出が促進するメカニズムを解明 -脳内の水の動きが鍵-
  2. H. Monai, S. Koketsu, Y. Shinohara, T. Ueki, P. Kusk, NL. Hauglund, AJ. Samson, M. Nedergaard & H. Hirase, Adrenergic inhibition facilitates normalization of extracellular potassium after cortical spreading depolarization, Sci Rep 11, 8150 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-87609-w
  3. H. Monai, X. Wang, K. Yahagi, N. Lou, H. Mestre, Q. Xu, Y. Abe, M. Yasui, Y. Iwai, M. Nedergaard, H. Hirase, Adrenergic receptor antagonism induces neuroprotection and facilitates recovery from acute ischemic stroke, Proceedings of the National Academy of Sciences, DOI: 10.1073/pnas.1817347116
  4. Y. Ue*, H. Monai*, K. Higuchi, D. Nishiwaki, T. Tajima, K. Okazaki, H. Hama, H. Hirase, A. Miyawaki, A spherical aberration-free microscopy system for live brain imaging, Biochem Biophys Res Commun, Volume 500, Issue 2, 2 June 2018, Pages 236-241. DOI: 10.1016/j.bbrc.2018.04.049
    *These authors contributed equally to this work.
  5. H. Monai, M. Ohkura, M. Tanaka, Y. Oe, A. Konno, K. Hirai, K. Mikoshiba, S. Itohara, J. Nakai, Y. Iwai, H. Hirase, Calcium imaging reveals glial involvement in transcranial direct current stimulation-induced plasticity in mouse brain., Nature communications, Mar 2016;7:11100
  6. H. Monai, M. Inoue, H. Miyakawa, T. Aonishi, Low-frequency dielectric dispersion of brain tissue due to electrically long neurites. Physical Review E, Dec 2012;86(6-1):061911.

☆卒論・修論 研究テーマの例

脳梗塞超急性期における脳の水チャネル分子アクアポリン 4 非局在化の評価法の確立
脳組織の光学特性を利用した水組成変性の評価
経頭蓋直流電気刺激が脳脊髄液と間質液の交換に与える影響の解析
慢性的な軽度のストレスからの回復におけるアストロサイトIP3/Ca2+シグナルの寄与の解明
ガンマ周波数の光や音刺激が神経グリア回路網に与える影響の生理学的解析
ヒト特異的α1アドレナリン受容体をアストロサイトに発現したマウスの脳機能解析
マウスにおける副交感神経のはたらきの可視化
真正粘菌原形質の管形成・選択のメカニズム
噛みしめ習慣による学習(認知機能)効果を調べる
腸からの栄養吸収後の迷走神経活性化惹起性の報酬応答のイメージング、及びストレス後の変化の観察