サザエの棘の数理モデル

英国オックスフォード大学のDerek Moulton教授、および、お茶の水女子大学のNathanael Aubert-Kato博士と共同で行った、サザエの棘の形の数理モデルについての研究です。サザエの棘のパターンは、環境との関係(波が穏やかな環境と、荒い環境)が考えられてきましたが、本研究は、異なる環境から得られた棘が、異なる数理モデルで説明できることを示しました。機械学習を用いたパラメター検索法を用い、限りない数理モデルから、パラメターのパターンを見出すことにも成功しました。本研究は、PLoS Computational Biologyに掲載されます。

 

親のストレス経験は、子供のバリエーションにどう影響するか?

次世代の発生緩衝は、環境によってどのように制御されているのか?この問題にこたえた論文です。英国プリマスのMarine Biological Association of the UK, University of Plymouth, ならびに東京大学と共同で、親のストレス経験が子供のバリエーションに与える影響を、カタユウレイボヤを用いて調べました。その結果、親のストレスは子供のバリエーションを大きくするという、これまで広く信じられてきた’bet-hedging hypothesis’ とは異なり、親にストレス経験がある場合、子供のバリエーションは小さくなること、また、その次の孫の世代でバリエーションが大きくなる可能性が示唆されました。発生緩衝に関わる遺伝子の発現は、熱ストレスによってのみ左右されるというわけではないことが明らかになった一方、発生を左右するシグナリング分子の発現は、環境によって大きくばらつくことが示されました。本研究成果は、以下の国際誌に発表されました。

’Heterogeneity in maternal mRNAs within clutches of eggs in response to thermal stress during the embryonic stage’ - BMC in Ecology and Evolution 24: 21 (2024)

https://bmcecolevol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12862-024-02203-8