教えないのは、自分の儲けが奪われるのを怖れる人であり、儲けを大事にする人は、研究を捨てた人だ。
-Leonardo Da Vinci, ウルビーノ稿本
わたしたち人間は普段、境界をつくる(言葉にする)ということを通じて、理解や認識を得ています。しかし、境界を作るということによって、自分たちをいかに苦しめているか、いかに求めるべき真実から遠ざかっているか、ということに気づかねばなりません。オックスフォードでの経験もさることながら、ケンブリッジ大学The Gurdon Instituteを訪問した際、それまでもやもやとしていた「理想とするアカデミアの姿」が明確化されました。研究室の壁、大学の壁、研究分野・領域の壁など、あらゆる境界をとりはらって、世界一面白い研究をすることを目指して勉強したいと思う人だけが集い、意見を交わしながら、人類が取り組むべき重要な疑問を明確化する場所。そういう場所を作りたいという思いで勉強会をはじめました。お茶大 x 東北大ではじまりましたが、おかげさまで、単位のためでも誰かへの忖度のためでもなく、純粋に「環境 x 発生 x 進化」について勉強したいという学生が集まり、とても楽しく刺激的な勉強会となっています。2022年春休みには、全国どこでも、日本語の通じる若手であれば参加できる勉強会として開催する予定です。
2022年2月と3月は、Phenotypic plasticity and evolution (Mary Jane West-Eberhard)のPart II以降を輪読します。環境が発生や進化にどう影響しているか?そもそも変異と淘汰だけで進化は説明できるのか?こうしたダーウィン以来の進化の中枢的な議論にメスを入れる歴史的な名著であり、約20年前にかかれた本ですが、現在でも可塑性や進化を研究する研究者の必読書です。長い本なので、一人で読み切るのはちょっと・・・と思っている方にも最適な機会です。また、各方面の研究室で、「環境」をテーマに研究に取り組む学生たちのネットワークづくりの場としても活用していただきたいと思っています。ぜひ奮ってご参加ください。現在、お茶大x東北大x千葉大で開催中。毎週木曜日、午後3時から予定。参加、見学希望者は、メールタイトル「環境発生進化学勉強会」で、所属研究室名と参加動機を、佐藤まで。