次世代の発生緩衝は、環境によってどのように制御されているのか?この問題にこたえた論文です。英国プリマスのMarine Biological Association of the UK, University of Plymouth, ならびに東京大学と共同で、親のストレス経験が子供のバリエーションに与える影響を、カタユウレイボヤを用いて調べました。その結果、親のストレスは子供のバリエーションを大きくするという、これまで広く信じられてきた’bet-hedging hypothesis’ とは異なり、親にストレス経験がある場合、子供のバリエーションは小さくなること、また、その次の孫の世代でバリエーションが大きくなる可能性が示唆されました。発生緩衝に関わる遺伝子の発現は、熱ストレスによってのみ左右されるというわけではないことが明らかになった一方、発生を左右するシグナリング分子の発現は、環境によって大きくばらつくことが示されました。本研究成果は、以下の国際誌に発表されました。
’Heterogeneity in maternal mRNAs within clutches of eggs in response to thermal stress during the embryonic stage’ - BMC in Ecology and Evolution 24: 21 (2024)
https://bmcecolevol.biomedcentral.com/articles/10.1186/s12862-024-02203-8