私達の研究室では、「脂質分子から細胞機能・病態を探る」をメインテーマとして、細胞生化学的手法や分子生物学的手法、さらには質量分析を駆使して、以下のテーマを研究しています。
- 生理活性脂質の代謝と機能;ヒトをはじめとする哺乳類の血清中に、生理活性リン脂質である環状ホスファチジン酸(cPA)を生合成する酵素が存在することを明らかにした。cPAは、がん細胞の増殖や浸潤・転移を効果的に抑制する活性がある他、神経栄養因子活性があることを明らかにした。
- 質量分析を基盤にした脂質メタボローム解析; 近年のソフトイオン化法の開発をはじめとする質量分析技術の目覚ましい進歩は、脂質分子を網羅的に解析すること(メタボローム解析)を可能にした。本研究 室では、いち早く最新の質量分析技術を駆使した脂質分子の系統的解析手法の確立に努め、その手法を適用することにより、リン脂質分子やステロイド関連化合 物について新知見の発見を目指している(下図を参照)。
- 必須脂肪酸バランスと生活習慣病(脂質栄養学);オメガ3系列脂肪酸の生理作用;必須脂肪酸の中でも、魚油中のDHAに代表されるオメガ3系列脂肪酸について最新の知見を整理し、予防医学的観点から研究成果を社会へ還元することに努めている。
- リン脂質結合タンパク質を用いた脂質の機能解析;食用キノコ等からリン脂質結合タンパク質を見出し、その結合特異性を明らかにした。これらのタンパク質を用いて、特定のリン脂質の細胞内動態や機能を解析している。
研究キーワード:生理活性脂質、脂質代謝、ストレス、がん細胞の浸潤、メタボローム解析、ソフトイオン化型質量分析、必須脂肪酸、脂質栄養、オメガ3系列脂肪酸 |
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