発生が温度環境から守られるしくみについて、遺伝子ネットワーク解析の論文がアクセプトされました

生物の発生過程は、環境の影響などによらず安定していることが「発生緩衝」として知られていますが、どのようにしてこのような安定性が得られるのかについては、まだ未解明の点が多く残されています。本研究では、ホヤの一種であるカタユウレイボヤが、温度環境に対して非常に異なった応答性を示す2種以上の姉妹種に分化していることに着目し、これら2種の発生過程において、熱ストレスに対する遺伝子発現を比較しました。その結果、発生の遺伝子ネットワークが、温度環境から発生を安定化させている発生緩衝のネットワークと非常にゆるいつながりを保っており、ダイナミックな発生を安定化させていることを明らかにしました。

Sato, A., Gina M Oba., Nathanael Aubert-Kato., Bishop, J. D. D.  Co-expression gene network analysis of environmental canalization in the ascidian CionaBMC Ecology and Evolution 22:53. DOI: https://doi.org/10.1186/s12862-022-02006-9.