研究関連の情報共有
ここでは、研究室内で利用している情報共有ツールやコミュニケーションツールなどを紹介します。また外部にも公開しているものについては、研究室ガイドラインや実験プロトコルなどへのリンクも貼っていきます。
研究室内での連絡・情報共有ツール
コミュニケーションツール Slack/Microsoft Teams
研究室内の連絡には、Slack/Microsoft Teamsを利用しています。LINEのようなツールですが、E-mailよりも気楽に連絡がしやすい点 (形式張りすぎない・返信までしなくていいものはリアクションですます、など)、プライベートで使っている人が多いLINEとは切り離して運用可能という点が研究室で使うには良いところと思います。Slackは残念ながら2022年から無料アカウントでは3ヶ月しか過去のメッセージが残らなくなったため、Microsoft Teams (大学で契約あり)を現在は使用しています。
予定共有 Google Calendar
研究室のアカウントから、教員と研究室の予定をメンバーに共有しています。教員がいつ不在か、だれが休みか、などが把握しやすく、便利です。
情報を育てる esa.io
研究室内でのガイドライン(研究室ルール)や実験プロトコルなどの共有には、esa.io (エサ)というサービスを利用しています。オンラインで同時編集も可能で、比較的気軽に情報を編集できる点で良いかと思っています。実験方法や機器の操作方法などのマニュアルを少しずつ書き足して育てていくというコンセプトです。
研究室のマニュアルにwordファイルなどを用いてGoogleドライブやDropboxで共有するというやり方もありますが、その場合は複数人でアクティブに編集しにくい、未完成のまま公開がしにくいと感じています。一方で、このesaの場合は、書きかけの状態でも研究室メンバーは皆がアクセス・編集できますので、早く共有することが可能で、その後の修正等も効率的にできる可能性がある、と期待しています。ほぼ完成して外部公開して差し支えないものついては、公開していきます (下記にリンクあり)。
研究室ガイドライン
- 研究室ルール (ohganelab.esa.io): 今のところ、研究室内部にのみ公開していますが、そのうち公開予定です。
- 大金研に配属されたら(新4年生のやることリスト) (ohganelab.esa.io): 大金研への配属が決まった新4年生向けの情報です。
- 実験ノートの書き方と電子データの管理 (ohganelab.esa.io)
- 大金研ChemDrawスタイル (ohganelab.esa.io): 大金研用のChemDrawスタイル/テンプレートを作成しました。ACS1996をベースに、結合長が少し短く結合が少し太めで、プレゼンテーションや図の作成向きと思います。
実験プロトコル・マニュアル類 (外部公開中のもの)
- タンパク定量 (BCA法とBradford法) (ohganelab.esa.io)
- Westernblot後のPVDFメンブレンのCBB染色 (ohganelab.esa.io): CBB染色は一般的には電気泳動後のゲル中のタンパク質を染色するのに使われますが、PVDFメンブレン上のタンパク質も染色可能です。また、ブロッキング・抗体検出後のメンブレンを染めることもできます。
- Western blottingに使用するHRP用化学発光基質の調製法 (ohganelab.esa.io): Luminolとenhancerを用いたenhanced chemiluminescence (ECL)試薬のレシピです。市販の高感度な試薬より感度は下がりますが、安くすみます。普段使い用に。
- EasySeparator用のゲル作成器の作り方 (ohganelab.esa.io): FUJIFILM和光純薬のSDS-PAGE装置EasySeparator用のゲル作成器を自作する方法。EasySeparator用のゲル作成器は市販されていませんので、自作しました。
- 微量DNA定量 (EzFluoroStain DNAと蛍光プレートリーダーを用いる方法) (protocols.io) << 大金研newsでの紹介
- 分子生物学ツールBenchlingの使い方 (ohganelab.esa.io): DNA配列の編集・管理等にブラウザベースのBenchlingを使用。シークエンス結果の確認にも。
- Clustal Omega (EBI)によるmultiple sequence alignment (ohganelab.esa.io): 複数のアミノ酸配列や塩基配列をalignmentするツール (保存されている配列や違う部位がわかる)。
- アガロースゲル電気泳動 (ohganelab.esa.io)
- LB(寒天)培地とTB培地の作り方 (ohganelab.esa.io)
- コンピテントセルの作成と形質転換 (ohganelab.esa.io)
- 大腸菌のグリセロールストック (ohganelab.esa.io)
- プラスミドの調製 (BioRad MiniPrepを一部改変) (ohganelab.esa.io)
- Phusion DNA polymeraseによるsite-directed mutagenesis (ohganelab.esa.io): 部分的にオーバーラップしたプライマーペアを用いたmutagenesis。大腸菌内での相同組換えを利用するためligationのステップは不要。
- KOD-plus-によるsite-directed mutagenesis (ohganelab.esa.io): inverse PCRによるプラスミド全長の増幅とそのligationによる方法。
- MEGAWHOP cloning法 (ohganelab.esa.io): megaprimerを用いた全長プラスミドの増幅により、ドメイン置換や挿入を行う方法。
- フィルター滅菌 (ohganelab.esa.io): 通常のシリンジを用いる方法と、ペリスタポンプを用いる方法。
- pHメーターの使い方 (ohganelab.esa.io)
- ゲル画像のバンド定量 (Image Jのプラグイン) (“Quantification of Gel Bands by an Image J Macro, Band/Peak Quantification Tool” / protocols.io): リンク先の解説は英語ですが、このプラグインを使うことでImage Jでバンドを囲むだけでバックグラウンドを差し引いた定量値を出すことができます。オススメです。この方法も含め、よく使われるバンド定量法のImage Jでの使い方の日本語での解説はこちら。プラグインは、ここからもダウンロードできます。
- ゲル画像から楽に分子量を算出するImageJのプラグイン (ohganelab.esa.io): アガロースゲル電気泳動やSDS-PAGEでは分子量マーカーを利用してサンプルの分子量などを計算することがありますが、その作業を楽にするプラグインを作りました。お試しください。”Quick estimation of molecular weight from gel images with an ImageJ macro, MolecularWeightEstimator”としてprotocols.ioでも公開しています (こちらはdoiで引用可能)。
- ゲル画像のレーンプロファイルをプロット (ImageJ + Rのggplot2) (ohganelab.esa.io): ゲル画像をクロマトグラムのように、レーンのプロファイルとして可視化したい場合があります。そのような場合には、ImageJでレーンプロファイルをデータとして取り出し、R/RStudioでggplot2を使って(好きなデザイン・見た目で)プロットするということをしています。ここでは色を変えて重ねる、offsetして重ねる方法を説明しています。
- タンパク質のESI-MS測定 (Bruker compact ESI-QTOF) (ohganelab.esa.io): intact proteinのESI-MS測定法です。下記のdeconvolutionと組み合わせて使用します。
- タンパク質のESI-MSデータのUniDecによるdeconvolution (ohganelab.esa.io): タンパク質そのものをESI-MSにより測定した多価イオンピークを分子量に変換する操作のプロトコルです。比較的新しいdeconvolutionアルゴリズムが組み込まれたUniDecの使い方を説明しています。
- ChimeraXからタンパク質の構造を予測する (ColabFold, ESMFold) (ohganelab.esa.io): アミノ酸配列からタンパク質の構造を予測するプロトコルです。AlphaFold2の改良版のColabFoldと非常に高速なESMFoldがChimeraXから簡単に使用できます。
- 遠心エバポレーターの使い方 (ohganelab.esa.io):タンパク質やペプチド、糖鎖などのサンプルから、 1.5mLチューブなどのスケールで溶媒を除去したい場合に使用します。ドライアイス-メタノールバスと油回転真空ポンプと組み合わせて使用しています。
- Excelでの非線形最小二乗法 (“Sigmoid fitting in Excel (Excel Solver Add-In” / protocols.io) : データにシグモイドカーブなどをExcelのソルバーアドインを用いてフィッティングする方法の解説です。リンク先の解説は英語です。実験データの整理と解析時のハードルの低さを考えると、非線形最小二乗法をExcelで行うことにも一定のメリットがあります。複数のカーブに同時に(一部のパラメーターを共通として)フィッティングしたい場合は、こちらを参照してください。
- Assay結果のまとめ方 (Excelで構造式を含む表) (ohganelab.esa.io): Assay (活性評価)結果のまとめ方のガイドです。Excelで構造式を入れた表を作る際の設定なども開設しています。
- RStudioを用いたAssayデータのプロット (ohganelab.esa.io): 化合物の活性評価では、多くの場合、濃度を振ってEC50やIC50を算出するような実験を行います。そのようなデータの可視化法を説明しています。
- RStudioによる濃度依存性データの解析とプロット (ohganelab.esa.io): AssayデータからR/RStudioでシグモイドカーブをフィッティングし、EC50やIC50を算出する方法の説明です。またggplot2でエラーバー・シグモイドカーブを含むプロットの作り方も説明しています。
- Excelのplate formatデータをlong formatに変換するShinyアプリ (ohganelab.esa.io): プレートリーダーから出力されるプレート型のデータをRでのプロットや解析に適したlong formatに変換する方法です (Shinyアプリを利用する方法)。
- PowerPointでプラスミドを描く (ohganelab.esa.io): プラスミドの絵をパワーポイントで描く方法の説明です。クローニング手順の図示などに。
- NMRデータの解析 (ohganelab.esa.io): NMRデータの解析に使用するMnovaの使い方です。普段使いの1H-NMRと13C-NMRでの使い方を説明しています。
- ffmpegで動画ファイルと画像の相互変換 (ohganelab.esa.io): 動画(やタイムラプス)で撮った動画ファイルから、フレームレートなどを指定して画像に書き出す方法。画像からImageJなどで解析したい場合などに。
- k2pdfoptツールによるPDFの変換 (ohganelab.esa.io): 見開きでスキャンした実験ノートなどのPDFファイルを、一括でまとめて単ページに切り分ける方法です。
- 真空ポンプの使い方 (ohganelab.esa.io): 油回転真空ポンプの使い方です。普段の有機合成のほか、遠心エバポレーターとも組み合わせて使用します。
- Molecular sievesを用いた溶媒や反応系の脱水 (ohganelab.esa.io)
- 蛍光顕微鏡用の簡易暗室の自作 (ohganelab.esa.io): 安上がりに簡易的な蛍光顕微鏡用の暗室を自作した際の記録。
- MacBookAirのバッテリー交換 (ohganelab.esa.io) : 実験プロトコルではありませんが、備忘録として。MacBookAirのバッテリーを自分で(自己責任で)交換する方法の記録です。
研究環境 (機器類)
ここでは研究室で保有している実験機器類や、共通機器などとして使用可能な研究設備について紹介します。
大金研で保有
- GloMax Exproler (Promega): マルチモードプレートリーダー (フィルター式吸光測定・フィルター式蛍光測定・高感度発光測定)
- 核酸の電気泳動関連 (Mupid-2泳動装置、ゲル切り出し用青色LED)
- サーマルサイクラーGeneAmp 9700 (R&D Biosystems)
- タンパク質の電気泳動関連: ミニゲル泳動槽EasySeparater (Wako)、BioRadタンク式転写装置、吸引式Western Blotting装置 (Merck)、超小型シーソーシェイカー (日伸理化)
- ミクロチューブ用ヒートブロック (1.5mL/0.6mLチューブ用)
- 恒温震盪機 Eyela MMI-1000A (大腸菌の培養用)
- ボルテックス・卓上小型遠心機 (ちびたん)
- pHメーター (HORIBA LAQUA F71)
- プローブ式超音波破砕装置 (島津)
- Ball-bearing homogenizer (オルガネラ分画用)
- ロータリーエバポレーター (EYELA) + 冷却水循環装置 (EYELA)
- 真空ポンプ (佐藤真空)
- 遠心エバポレーター (EYELA CVE-2100)
- 乾熱滅菌器 (EYELA)
- アルミブロック反応装置 (EYELA)
- ディープフリーザーMyBIO (日本フリーザー)
- 冷蔵冷凍庫・冷蔵ショーケース etc.
- 蛍光顕微鏡IX-70 (Olympus)
- 超音波洗浄槽 (ガラス器具洗浄用)
- セミミクロ天秤・ミクロ天秤
- 細胞凍結保存容器
- CO2インキュベーター
- クリーンベンチ (培養細胞用)
- 卓上簡易クリーンベンチ (大腸菌用)
- ドラフト
- 低速遠心機 (細胞用, 15 or 50 mL遠心管)
- 高速冷却遠心機 (kubota Model 3740): マイクロチューブ (0.2, 0.6, 1.5 mL) + 遠心管 (15, 50 mL) + マイクロウェルプレートが遠心可能。
- 高速液体クロマトグラフィー (島津): マニュアルインジェクト式でグラジエントが使えませんが、ちょっとした分析や合成化合物の小スケールでの逆相精製に使用しています。
共通機器として使用可能な機器
- Bruker compact ESI-Q-TOF質量分析計
- NMR (JEOL & Bruker)
- CD分光計 (日本分光)
- 微量分光光度計NanoDrop Lite (ThermoFisher)