大金研の研究がプレプリントサーバーbioRxivで公開されました。B4白鳥さん、M1露木さん、卒業生の川端さんが寄与してくれている研究です。
#なお、プレプリントとは、学術雑誌での査読前の原稿を公開したもので、専門家による査読を通過していないという点で学術雑誌に掲載済みの論文とは異なります。査読・修正には通常数ヶ月以上かかること、学術雑誌は契約していないと読めないことなどがあり、研究の加速と誰でも情報にアクセスできるようにするという目的で、査読前の段階の原稿をオープンにする制度が整備されてきています。
緑色蛍光タンパク質 (green fluorescent protein, GFP)は、特定のタンパク質を蛍光で光らせて可視化できることから、生命科学研究で広く利用されています。ただし、タンパク質でできていることから、加熱により変性させると蛍光を失う性質があります。そのため、タンパク質の電気泳動法であるSDS-PAGEで分離した後に目的のタンパク質を検出することはできません (通常のサンプルをボイルするプロトコルでは)。今回プレプリントで公開した論文では、加熱により変性したGFPをSDS-PAGE後のゲル内でリフォールディングさせる簡便な方法を報告しています。
In-gel refolding allows fluorescence detection of fully denatured GFPs after SDS-PAGE
非加熱のSDS-PAGEやNative-PAGEなどの電気泳動法では、タンパク質の立体構造や修飾状態などさまざまな要因で移動度が変化しますが、通常の変性SDS-PAGEでは主に分子量に応じた分離ができるという利点があります。これまで、GFPの蛍光検出を電気泳動後に行う場合、非加熱SDS-PAGEやNative-PAGEが用いられてきましたが、「分子量」通りに泳動されない欠点があります。ゲル内リフォールディングを用いる方法では、この欠点を回避できます。
現時点では、EGFPやGFPuv、superfolder GFP (とそのmonomeric変異体)、turboGFPなどでリフォールディングできることが確認できており、turboGFPとsuperfolder GFP (monomeric変異体)では他のタンパク質との融合タンパク質の状態でもリフォールディング可能です。Total protein stainingやその後のウェスタンブロッティングとも併用可能なので、用途・目的によっては便利に使える方法ではないかと考えています。
大金