英国王立科学会 (Royal Society of Chemistry)のOrganic & Biomolecular Chemistry誌に、大金が共著として関わった研究成果が掲載されました。
Egoshi, S., Dodo K.*, Ohgane K., Sodeoka M.* (2021) Deuteration of terminal alkynes realizes simultaneous live cell Raman imaging of similar alkyne-tagged biomolecules. Org. Biomol. Chem. 19: 8232.
https://doi.org/10.1039/D1OB01479J (open access)
大金が理化学研究所 (袖岡有機合成化学研究室)に在籍していた時に関わった研究で、研究の種を見つけて芽が出るくらいまでの段階に関与しています。その後、江越博士がどど孝介博士・袖岡幹子先生のもと、高純度の重水素標識体の合成法から、重水素化アルキンの化学特性を解析し、ラマン分光法により可視化し、重水素化アルキンのケミカルバイオロジー研究での有用性を検証・提案しています。
ラマン分光法とは、化学結合の振動を検出・可視化する方法です。アルキンは炭素-炭素三重結合を持っていますが、三重結合は他の生体分子では見られない特徴的な振動数を示すため、生きた細胞内でアルキンを含む分子を選択的に可視化することが可能です。この研究では、通常のアルキンだけでなく、アルキンの末端水素原子を重水素に置き換えると、ラマン分光法で「別の色で」見えること (=末端水素の重さが変わることで三重結合の振動数が変わること)、その特性を利用してアルキンとその重水素化体を同時に可視化できることを報告しています (図は上記論文のGraphical Abstract)。
大金