講義/セミナー

講義

前期(1・2学期)後期(3・4学期)
力学系理論(1)(火曜5-6限 理1-201)
力学系理論(2)(火曜5-6限 理1-201)
量子力学III(1)(金曜3-4限 理1-207)
量子力学III(2)(金曜3-4限 理1-207)
非線形物理学演習(木曜7-8限 理1-207)

集中講義

科目名  数理物理学特論
講師出口哲生
日時8月26日(月) 10:40-12:10 / 13:20-14:50 / 15:00-16:30
8月27日(火) 〃
8月28日(水) 〃
8月29日(木) 〃
8月30日(金) 〃
場所8月26日(月) お茶の水女子大学理学部1号館2階207室
8月27日(火) 〃
8月28日(水) 〃
8月29日(木) 〃
8月30日(金) 〃
概要(授業計画)
1次元可積分量子系におけるベーテ仮設の方法を系統的に解説する。
1次元可積分量子系とは、相互作用する量子多体系ではあるが、ベーテ仮設の方法を用いることにより、系のハミルトニアンの全ての固有ベクトルと固有エネルギーを求めることができる系のことを意味する。
(1)厳密に解ける1次元可積分模型の紹介。
(1-1)1次元量子ハイゼンベルグ模型(XXX鎖)のべーテ仮設波動関数の導出。

代表的な可積分量子系として量子XXX鎖を取り上げ、最初に、波動関数に対するべーテ仮設の方法を説明する。すなわち、固有波動関数の形を仮定して、ハミルトニアンの作用の下に、固有関数となる条件を導き、
条件すなわちベーテ仮設方程式の解を求めることにより、固有ベクトルを導く、という方法である。
(1-2)反強磁性XXX鎖の基底状態とギャップレス素励起。
(2)転送行列の方法。6頂点模型とYang-Baxterの解。
誘電体の模型である6頂点模型を導入する。
6頂点模型に対するYang-Baxter 方程式の解を導き、6頂点模型の転送行列が交換することを示す。
(3)代数的べーテ仮設法と量子XXX鎖のR行列。
次に、代数的ベーテ仮設の方法を系統的に説明する。
最初に、図形的解釈を用いて、代数的ベーテ仮設の方法を導入する。
ヤン・バクスター関係式を演算子の間の交換関係とみなして、
代数的ベーテ仮設を導入する。
1次元量子系と2次元古典統計力学系の対応関係に基づいて、
6頂点模型の転送行列から、1次元量子ハイゼンベルグ模型のハミルトニアンを導く。
(4)代数的べーテ仮設法による固有関数の導出。量子逆散乱問題の公式。
(5)1次元ボース気体の厳密解と冷却原子系の実験。
1次元デルタ関数型相互作用のボース粒子系(Lieb-Liniger 模型)の厳密解を解説し、 冷却原子系の実験との関連を述べる。

上記の内容に関して、一つの項目で2回か3回の講義により解説する。
合計で、全15回分の講義を集中講義形式で連続して行う。


(教科書・参考文献)
出口哲生、1次元量子系の厳密解とベーテ仮説の数理物理、物性研究 Vol. 74-3 (2000-6) pp. 255-319.
注意 大学にご入場の際は正門・または南門にて学生証を提示してください。